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「シカゴ」 at イクスピアリ・ムービー&ファン

日曜日の夕方は、イクスピアリのAMCシアターで「シカゴ」(Chicago: 2002年全米公開)を鑑賞。DVDになってから観て、映画館に行かなかったことを激しく公開していた作品だったのだが、ラッキーなことに今年の“ムービー&ファン”の上映作品のひとつに選ばれていたのだ。見逃してしまった作品を800円で観られるなんて、心憎いイベントだわ。
(余談だが、こういうイベントでディズニー長編アニメーションを対象にしたのがあればいいのに、と切望中。ていうか、できることならここのスクリーンひとつ、ディズニー専用にして。お願い。)

**以下、映画「シカゴ」の大雑把なネタバレあり**

やっぱり、大きなスクリーンで観られてよかった。最初の“All That Jazz”から迫力が段違い。あっという間に、猥雑なシカゴの世界に惹き込まれてしまう。大迫力の“Cell Block Tango”でもう完全にノックアウト状態。キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、あんたバケモノ!(褒めてます念のため)

ディズニーに慣れ親しんだ身としてミュージカル形式には抵抗がないのだが、NYに行ってもブロードウェイを素通りしたくらいミュージカルの舞台には疎い上、今まで、やたら露出度の高いコスチュームのダンサーたちがギラギラムキムキ踊るようなThat's アメリカン・エンターテイメント!なイメージになんとなく苦手意識を持っていたので、最初に「シカゴ」にハマった時の衝撃は大きかった。つくづく、食わず嫌いってよくない。

加えて、レネー・ゼルウィガーもリチャード・ギアも苦手な俳優だったから、ふたりが好印象なのも衝撃だった。主人公ロキシー役のレネーは正直、ちっともかわいいと思えない瞬間が多々あり(これは好みの問題ね)、歌も踊りもスタイルも微妙…?だったんだけど、演技力の勝利って感じ。特に、わざとらしく倒れこんで「お腹のベビーが…」て言う時に見せた、思わず蹴っ飛ばしてやりたくなるようなあのふてぶてしい表情。これはレネーにしかできない。負けた。ギアも、にやけ顔とねちっこい演技が胡散臭い弁護士役にはぴったりだったみたいで。しかしあのランニング姿には唖然(^^;脱ぐなら鍛えろって。

ヴェルマ役のキャサリンは恐ろしいほどに完璧。少々動きが重そうなところもあったけど、迫力勝ち。ただ、最後のステージ、レネーと体型や声質が合わないせいじゃないかと思うけど、いまひとつ決まった感じがしなかったのは残念かな。エンドクレジットのデュエットは良かったのにねぇ。あと、看守役のクイーン・ラティファが巨体を揺らして怪しく歌い踊るシーンに、あのアースラを思い浮かべたディズニーファンはきっと私だけじゃないはず(笑)

ミュージカルの醍醐味はやはり歌と踊りなのだろうけど、「シカゴ」の場合、それと同じくらいかそれ以上に、ストーリーにも惹かれた。元の舞台を知らないのでどこまでが映画オリジナルの演出なのかわからないが、こんなに完璧な構成で強烈に風刺の効いた作品って…スゴイ。ありふれた人間をモンスターに変えるおぞましい名声欲。正義を金で買う社会。貪欲な大衆とそれを扇動するメディア。そういった社会の闇を、アメリカのショービジネス界という“自分たちの世界”の中に描き切ったところが、スゴイ。何においても、外側から他人の世界を批判をすることは容易いが、風刺っていうのは内側から湧き出るものでないとつまらない。だからこそ、世界中にアメリカ政治批判の風潮が強まったあの時期に、アメリカの歪んだ部分を、アメリカ文化の中から鮮烈にとらえたこの作品に感服してしまうのだ。それも、内部告発のような湿っぽさは微塵もなく、毒々しいほど華やかでカラリとした一大エンターテイメントに仕上げた潔さ。

ストーリーに出てくるのはどいつもこいつも救いようがなく、それでいて魅力的な悪なんだけど、ことさら彼らを批判することも、同情することもなく、皮肉たっぷりに、クールに突き放した視点で描いたところがいい。その上、それだけでは悪どい連中の浮かれ騒ぎで終わってしまうところに、主人公の夫で哀しいほどにお人好しのセロファン氏と、唯一冤罪なのに言葉の壁と貧しさゆえに処刑されてしまうハンガリー人が出てきて。このふたりの存在が現実の重さを持たせ、作品を引き締めているところがまたよかった。

映画ならではの演出として、現実のドラマ部分とロキシーの妄想としてのミュージカル部分が交錯するのもおもしろい。(そういえば、ミュージカル部分の司会を務めたバンドリーダー役の人、売れない頃はTDLで踊ってたとか何かに書いてあったけど本当?)なんといっても、最後のステージでロキシーが観客に投げかけた、「この成功はあなた方のおかげよ!」みたいな言葉。映画館でなければ気にならなかったところだが、今回、これにはガツンとやられたよ。観客として、悪女ふたりの物語に惹き込まれていた自分もいつの間にか、殺人者をスターにのし上げた共犯者のひとりにされていたわけだ。観る者を巻き込んでいく技。恐るべし、シカゴ。出てくる人物たちと同じくらいのしたたかさを、この映画自体が持っているとつくづく感じた。
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