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Dream On Silly Dreamer

超いまさらだけど。2月にDVDの出た“Dream On Silly Dreamer”(公式サイト)の感想を。

そもそも“Dream On Silly Dreamer”って何?という話は、いつぞやのDiaryに書いたりなどもしてますが、2002年にディズニーが手描きアニメーションを止めると決定した際、Walt Disney Feature Animationを解雇されたアニメーターたちが作ったドキュメンタリーです。

2月にDVDで観てすぐに感想が書けなかったのは、気持ち的にちょっと凹む内容だった上に、字幕がついてなかったので一回観ただけじゃいまひとつ理解できなかったから。(リージョンフリー仕様なら、英語字幕くらいつけようよ…。)で、ようやく重い腰を上げて2回目にトライして、特典映像もひと通り観たわけだけど。評判通り、いいドキュメンタリーでした。できることなら、長編の長さにして、全体をもう少し掘り下げてほしかった気もするけれど(そのへんの物足りなさを映像特典がある程度補ってくれてはいるが)、よくまとまった中編。自分たちの身に降りかかったことを、よくここまで冷静に見つめて映画作品に仕上げることができたなと思う。

内部の暴露話になることもなく、単なるノスタルジーや自己憐憫に陥ることもなく、ディズニーアニメーションの繁栄と衰退の過程を真摯に描いているからこそ、価値のあるドキュメンタリー。たとえこのへんの話に興味がなくても、普遍的なテーマを見出せると思う。とある会社の信念に惚れ込み、寝る暇も削って家庭を犠牲にしてまで働いてきた従業員たちが、会社を大きく育て上げた結果、不必要な存在になったと解雇されてしまう。それ自体、どこの業界でも起こり得る現実的な悲劇だし。

さらにおもしろいのは、この作品のテーマが、今のアメリカの映画産業そのものが陥っている状況への問題提起とも受けとれること。アートを追求することをやめてビジネスだけを追求するようになった結果、ハリウッドはジャンクフードのようなチープな映画を大量生産するようになり、観客はただの消費者になり下がってしまった。そういう映画産業の悲しい現実を象徴しているのが、このドキュメンタリーに描かれたWDFAの悲劇だと思う。

この作品でちょっとすごいなと思ったのが、ディズニーの転落のきっかけはDirect-to-video(俗にいうCheapquel)商法であるとはっきり言い切ったところ(そういう商法に乗せられていた消費者として、耳が痛かったり…)。儲け主義に走り始めた経営側と、純粋に映画を作りたいアーティスト側との溝。ストーリーテラーではない、アニメーションに興味もないマーケティングの人間からストーリーを押しつけられる苛立ち。このあたり、現場の声だからこそ生々しい。衝撃的だったのは、私たちにとっては夢の象徴のように見える、有名なソーサラーハットのアニメーションスタジオが建設された時のこと。それまで古い倉庫のスタジオで楽しそうに仕事をしていたアーティストが、新しい豪華な建物に入って発した言葉が「ガス室みたい」。アーティストのためではなく、経営の宣伝のために作られた建物だということがすぐに判ったらしい。実際、ここで手描きアニメーションの息が止められる日が来たことを思うと、とても重い。

それでも、このドキュメンタリーに出てくるアーティストたちは、経営者の誰かを批判したり、恨み言を言ったりしない。WDFAへの思い入れとスタジオでの思い出を心から楽しそうに語る。この映画のスタイル自体、ディズニーアニメーションへのオマージュになっていて、そういう愛が感じられるからこそ、心を動かされるし切なくもなる。アーティストたちの象徴であるDreamerの人形の、いかにも手作りらしい素朴な顔に浮かぶ涙に、思わず貰い泣きしそうになった。

しかし、考えてみると私が愛着を持っているWDFA作品って、みんなWDFAに逆風が吹き始めてからのものなんだな。やっぱり、逆境にいるからこそ光るというものがあるんだと思う。そういう意味で、優良企業ですべてが順調に見えるPixarの作品にはあまり魅力を感じなかったり。Underdogに対する偏愛かもしれないけれど、どん底から這い上がる力によってしか作り出せないアートがあると思うので。すべてのDreamerに、WDFAに残って奮闘している人にも、外の世界で別の道を歩き出した人にも、“I wish you the best”と、心から言いたい。

ディズニーアニメーションを愛している人、かつて愛していた人に、ぜひ観ていただきたい作品。DVDはAmazon.comで購入できます。
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