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「ロシアン・ドールズ」

セドリック・クラピッシュ監督の「ロシアン・ドールズ」(Les Poupees Russes / Russian Dolls:2005年フランス)を観た。同監督の「スパニッシュ・アパートメント」(2002年)の続編として、あのアパートをシェアしていた留学生たちの5年後(実際より時が経ってるぞ)を描いた作品。

おもしろかった。「スパニッシュ・アパートメント」が好きだったので、続編なんてどうなのかなぁーと思っていたのだけど、ちゃんと納得できる。前作の二番煎じやただの後日談に終わらず、5年後という設定が活かされた新しいテーマの物語でした。

無軌道にモラトリアムを楽しんでいた連中が、社会に出て数年後、ひとりの結婚式のためにロシアで再会する。あの頃、貧乏臭く大勢でルームシェアしていたわりには、みんな金に困ってなさそうで仕事も華やかで、そのあたりは映画やねーという感じだけど。元々のキャラ設定がよかったから、この子がこうなったのかーとか、あいつにこんなことが起きるとはねーとか、変化がリアルで楽しい。前作では陰の薄かったオドレイ・トトゥの役に共感した。

まいったのは、主人公グザヴィエの成長のなさ。相変わらず女ったらしでふらふらしてて。前作の頃なら若気の至りで済んだけど、三十路に差しかかってこれはイタイ。数年で人間そんなに変わるもんじゃないよ、というのも現実的ではあるけれど。個人的に、グザヴィエを演じるロマン・デュリスがあまり好かんので、ひたすらデュリスのひとり芝居みたいな展開はちょっと苦しいものがあった(確かに上手いけど、なんか濃いーんだよ)。“留学”と“共同生活”という大枠自体が魅力的だった前作に比べると、ただの日常の恋愛模様みたいな本作はパンチに欠ける気もする。

それでも、2時間10分、ぐいぐい魅せられてしまった。いちいち、いいところついてくるんだもん。それで同世代として身につまされるところがあったりとか、まあ、いろいろとあるわけです。設定そのものはそのへんに転がってる青春ドラマと大して変わらないのに、クラピッシュがおもしろいのは、妙に突き放したリアルな人間描写と、圧倒的に鋭い時代感覚があるところ。

スペインの次はロシアが舞台なんて、狙いすぎな気もするけれど、時代の流れとして正しい選択だと思う。ヨーロッパの動きを確実に掴んでる。そういう舞台設定が心象風景と重なったりするところもうまいし、音楽の使い方もいい感じ。前作はラテン系が入ってたんだけど、今回はロシアに着いた途端ブンスカしちゃって。あと、結婚式で流れる歌がすげー皮肉だった…。

さりげないセリフからも、ヨーロッパの同世代が向き合っている問題とか、今の感覚がひしひしと伝わってくる。自分がもしフランス人だったら、「グローバリゼーションは今や弊害を生むのよ」とか絶対口走ってるだろうし。グザヴィエがよく「混沌の極み」とかつぶやいているように、私たちは人間関係にしても国際情勢にしてもカオスの時代を生きているわけで。そういう意味では、スッキリ爽快にラストを迎えた前作とは対照的に、終わりなんて別になくていいんじゃん?と結末を流してしまうやり方も、時代の流れをよく表わしているような。でも、“ロシアン・ドールズ”(マトリョーシカ)への言及は、ちょっとこじつけかなぁ。

なんか、この調子で終わられると、さらなる続編が作れそうで怖いんだよな。35歳になったグザヴィエが相変わらずふらふらだったら、いよいよ笑えなくなってくる。舞台はどこだろう。東欧の次に来るとなると、バルカン半島あたりでしょうか。
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