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Time of the Gypsies

大体、リメイクっていうとそれだけでネタ切れですか?と思ってしまうのは、昨今の映画産業を見れば無理もないことかと。だから、エミール・クストリッツァが若い頃の傑作「ジプシーのとき」(Dom za vesanje:1988年ユーゴ)を自らリメイクするという話を聞いた時は、正直あんまり嬉しくなかったんだよね。ついにこの人まで…と。

そもそも「ジプシーのとき」っていうのは、なぜか日本でDVD化されていないので廃盤のビデオをレンタルして観たんだけど、いろいろあってクストリッツァがブチ切れる以前のわりと真っ当な作風で、貧困や人身売買の問題を背景に、貧しいジプシーの少年の悲恋と彼が巻き込まれていくゴッドファーザー的マフィアの世界を描いた悲劇。非常に重たい内容でありながら、ユーモアが効いていて、それでも最後は号泣させられるという名作で、今更どこに手を加える余地があるの?と疑問に思ったわけですが…

そこはエミール御大。リメイク版は映画ではなく、ノー・スモーキング・オーケストラによる前代未聞、全編ロマ語の“パンクオペラ”というから度肝を抜いてくれました。だってパンクオペラだよ?なんだか意味分かんないけど、そのトンデモな匂いだけで誰も文句言えませんわ。しかも、初演はオペラ・バスティーユ。こんな冗談みたいな企画をここまで壮大なスケールで敢行できるのは、世界広しと言えども“エミールとゆかいななかまたち”だけ!御大やりたい放題だな。

と、憎まれ口を叩くのも、実を言うとわたくし血迷ってはるばるフランスに観に行くつもりでチケットまで手配したのに、職場で休暇が認められず断念させられて、ひどくご機嫌斜めなんですのよ。だから、今回のオペラのサウンドトラック“Time of the Gypsies”も、複雑な気持ちで買ったんだよね。今頃は生で観れたはずなのに、CDだけ聴いても余計にフラストレーション溜まりそうじゃん。そうはいっても、ノー・スモーキング・オーケストラの約1年半ぶりのアルバム。聴かずに我慢できるわけもない。

しかも、今回の“なかまたち”は一味違う。数十人の交響楽団やら女性コーラスグループやらを従えて、無駄にスケールアップしたド迫力編成。それはちょうど、レニングラード・カウボーイズが赤軍楽団と手を組んだかのような。トータル・バラライカ・ショーですか。そんな皆さんのご様子はこんな感じ。なんだかメルヒェンの世界です。この人たち、もう二度と普通のロックバンドには戻れんだろうな…。

というわけで、初めっからトンデモくるぞくるぞ~と半分怖いもの聴きたさ?で手にしたCDですが、ええええええ、なんかこれ…すんごいね。

いつもながら、こちらの予想を遥かに超えるものすごさ。ハマる人しかハマらない、そしてうかつにハマると抜けられなくなるノースモワールド。今回はジプシーミュージックをベースに、作品の舞台がミラノなのでイッタリアーノな歌劇風、ついでにタンゴ・アールゲンティーノ!テンコ盛りのsvetska muzika (=world music)に襲われて、体が勝手に踊っちゃっておまけに鼻血が出てしょうがない。こんなの人前じゃ絶対聴けまへん。そういえば、 強烈にゴキゲンな“Evropa” という曲に聴き覚えがあるなーと思ったら、やはり私的ご贔屓バンドKultur Shockの“How to Fucc Songs & Irritate Musicians”というトンデモソングと同じ旋律だったので嬉しくなりました。(パクリじゃなくて、同じ伝統曲を採り入れているという意味。)さすが同郷。

そして、ミュージカルナンバーのすんばらしいこと。それはもう、アラン・メンケンばりに良きミュージカルとはこうあるべし、を実践していてすんばらしい。若干トチ狂ったメンケンかもしれませんが。歌詞がまたすんばらしい。主題は重たいのにノリはアホ。潔くていいですね。キャスト(歌い手)も皆、強力ですよー。歌だけでこんなにキャラ濃いいってどういうことでしょうか。ねえデヤンさん。

聞くところによると、演出もすんばらしくヤバそうです。人間やセットが宙に浮くわ、ジャグラーやらアクロバットやら、本物の犬とかガチョウの群れまで出てくるわ。打倒シルク・ドゥ・ソレイユ!と、御大が言ったかどうかは知りませんが、それはオペラじゃなくてサーカスです。なんでもパリではバカウケで、連日スタンディングオベーションなんだってさー。ちぇー行きたかった。


Time of the Gypsies Time of the Gypsies
Original Soundtrack (2007/06/26)
Universal/Decca

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コメント

はじめまして。

突然のコメント失礼いたします。
映画『ジプシーのとき』について情報を集めている時に、このブログにヒットしました。Nao様はこの作品をレンタルされたとのことですが、お店を覚えていらっしゃれば教えて頂けませんでしょうか?
実は大学院でジプシー映画に関する研究を行っており、論文の資料として何としても必要な資料なので必至に探している次第です。ブログ上では問題がありましたら、メールの方にご連絡頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。

はじめまして。ビデオですが、恵比寿のTSUTAYAで借りました。渋谷店にも確か2本置いてあったんですが、いつ見ても貸出し中で。数年前の話なので、最近の状況は分かりませんが…。そんなわけであまりお役に立てる情報ではないかもしれませんが、見つかることをお祈りいたしますね。

  • 2007/12/02(日) 22:58:39 |
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