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Storytellers Cafe

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「トランシルヴァニア」

トニー・ガトリフ監督の「トランシルヴァニア」(Transylvania:2006年仏)を観た。

えらく濃いいもんを観てしまった。というか、聞いてしまったというか。この映画、至るところでむき出しの“生”が叫び声を上げている。慟哭、歓喜、音楽までも。

叫ぶ女、アーシア・アルジェント。大地が割れそうなほどに、激しく叫ぶ。愛する男をフランスからはるばるトランシルヴァニアまで追ってきて。失われた愛に絶望して。道で出会った少女を追って。お腹に宿した子を産み落とそうとして。ド迫力の荒々しさ、圧倒的な存在感。そのわりに、愛した相手は平々凡々な男で、これじゃあ彼女についていけずに逃げ出すよな、と納得してしまう。本作は、一応、ガトリフ初の女性が主役の物語とのことだが(一応、という理由は後述)、堂々たる主役っぷり、恐れ入りました。

そんな女をいつしか追っている男、ビロル・ユーネル。この人、めっちゃ好みなんだけど。わりと最近観たファティ・アキンの「愛より強く」は、ビロルに惚れすぎて作品がまともに観れなかったくらい。またしても、破天荒な女に振り回される役なんだけどねぇ。「愛より強く」のリスカ女は正直好かんかったが、今回のアーシアとビロルはいい。女の強さ、激しさをそのまま受け入れる度量のある男。深い孤独に共鳴し合えるふたり。

大抵、ガトリフの作品には、ロマの世界に属する者(例:「僕のスウィング」のスウィング、「ガッジョ・ディーロ」のサビーナ)と、その世界に憧れて入り込もうとするよそ者(「僕のスウィング」の僕、「ガッジョ・ディーロ」の主人公)が出てくる。しかし、その世界はよそ者を容易に受けつけない。ガッジョ・ディーロの彼のように歩み寄れる例もあるけれど、とりあえず、観ているこちらとしては、足を踏み入れようとすると目の前で扉を閉ざされてしまうような感覚がある。共感したくても拒否されてしまうような。アルジェリアのロマの血を引きフランスで育ったガトリフ自身は、両者の世界を行き来できる人物のはずなのだが、どうも、俺たちロマの世界は所詮ガッジョ(よそ者)には解らんよ、と考えている節があるような気がする。今まで、それがちょっと苦手だった。

ところが、今回の女は、フランスからやって来て、トランシルヴァニアでロマに“なる”。ガトリフの近作をいくつか見逃しているので断言はできないが、ロマに生まれずともロマになれる、という発想はこれまでのガトリフのスタンスからすると新しい気がして、興奮を覚えた。本作では、女も男も、ロマのコミュニティーにすら属することができない(ロマの少女にあっさり去られる女、ロマ楽団から諌められる男…)孤立した存在となっている。マイノリティとしてのロマに関心を寄せ続けたガトリフが、さらなるマイノリティ、究極の流れ者に目を向けたかのような。

ただし、女がロマになった時から、物語の流れは変わる。女はどこか手の届かないミステリアスな存在となり、視点は、女を追う男の方に完全に移ってしまう。(だから、女性が主人公、というのは後半になると当てはまらない気がする。)ロマの女に惹かれ、遠ざかっていく彼女を追う男は、またもガッジョ・ディーロ的な存在になってしまうようで。それは、ガトリフの中に、やはりどこか、ロマの世界をガッジョから遠ざけておきたい、という思いがあるからなのか…。

だけど、ラストシーンを見てふと思ったこと。ロマ、マヌーシュ…そもそも、“ひと”という意味ではなかったか。ならば、普遍的に捉えることも許されるんじゃないか。人は本質的に、自分の謎めいた部分を相手に見られまいと逃げ、相手の謎めいた部分に惹かれて追っていく、そういう哀しい存在であると。だからこそ、この人になら追いつかれてもいいという気持ちと、どこまでも追っていきたいという気持ちが奇跡的に重なり合う瞬間こそが、愛の成就なんじゃないかと…。

それにしても、驚きました。ルーマニアの酒場で、まさかのカントリー・ベア。
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台北小旅行4日目

最終日。珍しく早めにチェックアウトを済ませ、集合時間まで余裕で待機…したものの、出発予定の8:30をまわってもお迎えのバスが現れない。交通渋滞で遅れてるのかな?それにしても、遅い。他のホテルで遅れた客がいたのかも?しかし、待てど暮らせど来ない。おかしい。友人のひとりが何かに気がついて、行きに配られた日程表を見る。最終日、集合時間10:45と書いてある(笑)何を勘違いして8:30出発だと思い込んでいたんだか。確かに、午後発の便にしちゃあ集合が早すぎる気はしていたが…4人も揃って誰も集合時間を確認してなかったというおバカちゃんなのでした。心配してくれていたホテルのスタッフも、一緒になって大爆笑。いやぁ、笑ってくれて助かったよ。これが日本とかだったら、普通に苦笑いか冷淡にあしらわれそうなもんだ。

フロントのおじさんが、「1時間マッサージやってこれるヨ」と親切に近くのお店を紹介してくれたので、荷物をホテルに預けたまま出かける。今まで雨が多かったので気がつかなかったが、台北の街中は交通量が多くて空気が悪い。バイクに乗った人が皆、マスクをつけてるわけだ。目当てのマッサージ店を見つけたが、雰囲気のわりに値段が高く乗り気がしなかったため、教えてくれたおじさんには申し訳ないが取りやめて、近くでお茶でもできる所がないか探す。時間的に開いている店が見当たらず、結局、24時間営業のファミレスのような店を見つけてそこで時間をつぶすことに。ほとんど人の気配のない店内で、店員が掃除機などかけているのを横目に見ながらお茶をするというのもちょっとした不思議体験でした。ファミレスっぽいわりにお茶の値段は全然ファミリー価格じゃなかったが、大きなポットで出てきて、なくなると継ぎ足してくれるので、長居すればお得なのかも。

(左)台北の信号はカウント式 (右)友人が果敢に飲んでた謎のお茶
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ホテルに戻り、今度こそ時間通りに迎えに来たバスで出発。途中、免税店に立ち寄ってから空港へ。空港内のフードコートで慌しくランチ。日本人観光客こそ少なかったが、やたら混んでいてなかなか空いている席が見つからない。熱気に圧倒されていると、地元の人らしい子連れのお父さんが笑顔で席を譲ってくれた。なんかこの旅では、何かと人に親切にしてもらって癒されたな。そして、ここで初めてローカルフードらしい食べ物に出会えたような。

(左)空港のフードコート (右)台湾式ぶっかけご飯定食
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帰りのフライトは行きより早く、2時間半ほど。あっという間に成田に到着した。思いがけずのんびりできて、久々に友人たちとたくさん話す時間もできたし、こんな旅行もいいもんだなぁと。そのうちまた、行って癒されたいわん。

台北小旅行3日目

大型台風SEPATがいよいよ上陸。ホテルのロビーの台風情報を見ると、本日のフライトはことごとく欠航になっている。台湾新幹線も1日運休。ホテルや周辺の商店では、窓ガラスにガムテープを貼ったり、入り口を閉鎖したり、台風対策が着々と進められている。地元の人は台風に慣れているのか、慌てず騒がずという雰囲気。

我々も慌てたところでどうしようもないので、とりあえずのんびり朝食をとってから、タクシーでグランドフォルモサ・リージェントホテル(台北晶華酒店)へ。外装工事中のようだったが、中はさすが最高級ホテル、異空間な美しさを放っている。スパの予約時間まで数時間、ホテル内のDFSでお買い物。有名どころのブランド品が一通り揃っているが、それほどお得感はない。化粧品なんて成田の方が絶対安かったし。そうそう、台北の室内は大体冷房がきついが、ここは特に寒かった。外の暑さとの差が激しすぎなんだよね。

予約していたムーラン・スパ(沐蘭SPA)は、ホテルの20階。(ムーラン・スパだからって、白塗りメイクを施されたりお茶にコオロギが入ってたりすることはないので心配は要りません。)バリ風のインテリアで、マッサージはタイ風やらインド式やらハワイアンやら、何も台湾で体験しなくてもという感じだが、ここの特徴は、何といっても設備が充実していること。個室の中にベッド、更衣室、トイレ、サウナまであって、並みのホテルの部屋より全然広い、というかうちの自宅より間違いなく広い。ただし、私は友人の1人とカップル用ルームを共有したので、微妙な空気が漂いました…。バスタオル一枚の姿で向かい合うのって気まずいよね…せめてバスローブが欲しかったわ(ある部屋にはあったみたいだけど)。マッサージは、“若返り”という名の中国式指圧コースをチョイス。ごく普通の指圧という感じで、正直若返った気はしなかったけど、気持ち良かったのでまあいいや。マッサージ後に、フラワーバスに浸かりながらお茶とデザート(といってもサンドイッチと餅菓子のようなもの)をどうぞ、というサービスがあったが、さすがに友人とマッパで風呂入りながらサンドイッチ食うのは気が引けたので、さっさと服を着てからいただきました。1つのコースが着替えやお風呂の時間も含めた時間設定になっていて、ちょっとせわしなかったので、欲を言えば時間を気にせずにこの設備を堪能してみたかったな。まあ、時間制限がないとキリがなくなっちゃうんだろうけど。

(左)スパ個室内 (右)フラワーバス
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スパの後は、ホテルの1階にあるazieというカフェでまったりお食事。カフェといっても、アメリカンな食事からアジアンカフェメニューや麺類までいろいろ揃っている。ピアノの生演奏付きの優雅な雰囲気で、外の台風のこともすっかり忘れてしまう。かなり長時間、ここに入り浸った。

(左)azieのワンタン麺 (右)外は台風…
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夜になり、再びタクシーでグロリアプリンスに戻る。ロビーの台風情報を見るとピークは過ぎたようで、明日のフライトには問題なさそう。台風のおかげでというのもなんだが、いつもの旅行では考えられないほど1日のんびりしてしまった。荷造りをして、今日こそはいいかげん早めに就寝…すればよいものを、またしても見ている台流ドラマ(笑)

台北小旅行2日目

朝、ホテルのロビーに日本からFAXで送られてくるらしい台風情報が。今日から国内線のフライトキャンセルがぼちぼち出始めている。グロリアプリンスの朝食は、一般的なバイキング形式で、洋食の他に白粥、味噌汁など和風メニューもあり。味はともかく種類は結構多くて、野菜が豊富なのが嬉しい。

バスで半日市内観光に出発。忠烈祠の衛兵交替式に龍山寺中正記念堂という、前回の旅行でも行ったお約束の場所ばかりだが、車窓から眺める街の様子が随分変わったのが新鮮。数年の間に、小洒落たカフェやブランド店が急増したみたい。日本もそんなところがあるけど、古い街並みとのアンバランスがなんともアジアだなぁと。観光スポットは、どこも人ごみと暑さでへろへろ。近づいてきた台風の影響で、焼けるような陽射しと土砂降りが交互に襲ってくるという困った天気。

忠烈祠
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龍山寺では、前回時間がなくてできなかったおみくじを引いてみる。台湾のおみくじは、引く前に神様にお伺いをたてなければいけないから時間がかかるのだ。神様の耳?の形をした赤い木片を二つ手に取って地面に投げ、表と裏が出たら引いてよいという印。3回投げても表と裏にならなかったら、神様が聞き入れてくれないのでおみくじを引けないという、結構厳しいルールがある。おみくじは、長い木の棒の束から1本引いて、そこに書かれた番号の引き出しから1枚いただく。4人とも無事、表裏が出て、おみくじに辿り着けてほっとしたが、内容は漢詩で書かれているのでもちろん解らず。ガイドさんに簡単に読んでもらったが、あんまりいいことじゃなさそうだったので解らなかったことにしとこう。しかし友人たちのは当たってたんだよなぁ…。それから、龍山寺は縁結びの神様、月下老人を祀っていることでも有名で、縁結びの赤い糸もいただくことができる。一応貰ってきたけど、お賽銭すらしなかったので効果はどうなんでしょうか…?

(左)龍山寺 (右)中山記念堂
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ツアーはDFSで解散、お世話になったガイドさんともここでお別れ。明日は台風上陸で外に出られなそうなので、DFSの入っているグランドフォルモサ・リージェントホテル(台北晶華酒店)で1日過ごすことにし、ホテル内のスパに予約を入れてみる。台北のスパは前々から予約しておかないと厳しいと言われていたが、ダメもとで聞いてみると翌日の午後なら4人予約できるとのこと。ここまで辿り着けさえしたら、明日1日無駄にすることはなさそうだ。

DFSからグロリアプリンスまでは徒歩10分ほどだったので、いったんホテルに戻り、ホテルの斜め前にある彭園湘菜館で遅めのランチにする。湖南料理の有名店とのことだが、中途半端な時間だったためか店内ガラ空き。つきっきりでお給仕してくれました。湖南料理って初めて食べたけど、ちょっと濃い目の味付けなのかな、という程度で普通に口に合う感じ。高級な雰囲気のわりに、一品料理は意外とお手頃価格だった。

(左)彭園湘菜館(1階はドラッグストア) (右)コンビニ「全家」
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食事の間は土砂降りだった雨が一時的に上がったので、最寄りの雙連駅まで歩き、MRT(新交通システム)で台北101に向かう。MRTは、前回来た時もきれいで使いやすい印象だったが、さらに進化していて驚く。切符の代わりにプラスチックのコインのようなトークンが使われるようになり、これをかざして自動改札を通るという方法に。改札を出る時にトークンが回収されるので、エコ効果もばっちり?

(左)MRTの自動改札 (右)駅構内のポスター
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台北101は、2004年に完成した101階建ての超高層ビルで、前回来た時には当然まだなかったもの。MRTの市政府駅から無料の送迎シャトルが出ている。この付近、いかにも最近開発された地域という感じで、日本でいうとお台場みたいな雰囲気。101は地下1階から5階までがショッピングモールになっている。上の方に展望台があるのだが、天気が悪いので行かなかったため高さは全く実感できず、何のために行ったんだか…。ショッピング組がお買い物している間、地下のフードコートで台湾スイーツを食しつつひと休み。(買い物中に座って休める場所が全くないというのは、ショッピングモールとしてどうかと思う。)わざとらしいほど高級感漂うモール内で、ここだけはやたら庶民的でおもしろかった。

(左)101内 (右)フードコート
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(左)花生豆花 (右)ツボにはまった紙コップ(新の生活…Happy Gril…)
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MRTで民権西路駅に出て、タクシーで行天宮に向かう。台湾のタクシーは初乗りが70元(約260円)と安く、近距離でも気軽に利用できる。行天宮というお寺は商売の神様を祀っていることで有名だが、ここに向かった目的はお寺ではなく地下にある占い横丁。しかし、タクシーを降りてみると、地下道に降りるらしき階段が封鎖されている。まさか台風のせいで占いが中止?折りしもひどり土砂降りで、とりあえず行天宮に避難。ここでお参りだけして、諦めて帰ろうとタクシーに乗る。すると、タクシーから見えました、占い横丁の地下道の入り口が開いてるのが…。一瞬降りようかとも思ったが、ひどい雨でみんな疲れていたこともあり、占いには縁がなかったことにしてホテルに帰る。

行天宮
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雨がひどくて外に出られないので、夕食はグロリアプリンスホテル内の広東料理、九華樓へ。評判どおり美味しかった。一品一品、手が込んでいて上品な味付け。食器がすべてウェッジウッドだったり、高級な雰囲気にもかかわらず価格はリーズナブル。ここはもう言うことなしです。

九華樓のウェッジウッドの食器
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大満足で部屋に戻り、今日こそは早く寝よう…と思っていたのに。こともあろうに、TVの台流ドラマにハマる(笑)いや、台風情報やってないかとTVをつけたら、ニュース番組が見つからずドラマばっかりやってたので…。普通なら、言葉も解らない外国で連続ドラマを途中から見ておもしろいわけがないと思うが、字幕の漢字を頼りに友人と半分妄想で解釈しながら見てたらおもしろいことおもしろいこと。しかも内容そのものがかなり荒唐無稽と思われ、演出も非常にゆるい感じがツボにはまってしまい、気がつけばドラマ2本も見ちゃって今日も夜更かし。アホだ…。

台北小旅行1日目

今年は7月にパリでバカンスのはずが、会社のせいで流れに流れに流れ、結局休みが取れたのは、またもやお盆時期の数日間。仕方なく近場の台湾で3泊4日という、いかにも日本の会社員な小旅行に。台北には大学時代に行ったことがあったし、大型台風が近づいているらしいこともあり、あまり乗り気がしない。とはいえ、今回は女友だち4人という初のグループ旅行(いつもは2、3人なので)。学生の貧乏旅行とは違う趣向になるだろうし、初めから期待が全くない分、案外楽しいことがあるかも。気を取り直して出発です。

成田から台北までは、3時間半のフライト。もっと近い気がしてたんだけど、意外と遠いな。でも、時差が1時間だけなのはやっぱり楽だ。午後発の便で、夕方に台北の桃園国際空港に到着する。成田で少しだけNT$(台湾元)に両替していたのだが、空港からホテルに向かうバスの中で、現地ガイドさんがかなりいいレートで両替してくれた。

今回のツアーは、2日目の午前中にお約束の市内観光がある他はすべてフリー。毎度のことながら、滞在中のプランなどは全く未定。自分としては、前に行った時に夜市の屋台がおもしろかった記憶があったので友人たちに勧めていたのだが、そこにちゃきちゃきしたガイドのおばさんの衝撃の一言が。「夜市に行ってもいいけど、屋台で食べないでくださいね。それでお腹壊す人多いんですヨ。」えーと、わたくし平気で食べてきましたが…。かき氷やら生ジュースやら得体の知れないお粥やら。いつから日本人のお腹はそんなに弱くなったんだ?それともこのお腹が怖いもの知らずなだけ??出鼻をくじかれて少々へこんだのも束の間、何の予定もなく無気力そうな我々に気づいたちゃきちゃきガイドさんが、親切にも夜まであちこち案内してくれることに。専属ガイド付きツアー状態。

まず連れて行かれたのは、お約束の足裏マッサージ。場所も名前も分からぬままついて行っただけというダメダメぶりだったが、後で調べたところ、温莎堡商務養生館という有名なお店だったらしい。(強烈なインテリアが印象的だったのですぐ判明した。)大型店で、日本人観光客の扱いに慣れている感じ。2名ずつの個室で足つぼマッサージを体験。30分で700元(約2600円)というのはやっぱり観光地価格かしらん。個室にTVが備えてあるのが自慢らしく、マッサージ師のお兄ちゃんが一生懸命NHKのチャンネルを探してつけてくれた。マッサージ中にNHKなんて全然見たくないけど…せっかくつけてくれたので大人の対応として喜んで見てるふり。マッサージは思っていたほどきつくなかったが、局地的に信じられないような痛みが走る。日本語を勉強中らしいお兄ちゃんたちが、その度にどこが悪いと教えてくれた。私が指摘されたのは、目が悪い、肩凝り、寝不足、飲み過ぎ…ははは、全部当たってるじゃん。オプションで足の角質取りをしている2名を待ってエントランスをうろうろしていると、「どうしたの?」「どこに帰りたいの?」と次々店員に声をかけられる。友人を待っていると告げると、ソファに腰掛けさせられ、前のテーブルに推定「この子たちは人を待っているところです」と書かれた紙を貼られる。その後も「お茶飲む?」「ジュースあるよ」などとあらゆる店員が声をかけてくる。みんな親切だなぁ。しまいには、どう考えても我々よりずっと年下のかわいい女の子が「アメ、おいしいヨ」とキャンディをくれる。我々、一体いくつの子どもだと思われたんだろう…。(ちなみにここでもらった“黄心梅”というアメ、最初はあまりに不味くてびっくりしたものの、だんだん美味しく思えてきて帰国前には大袋で購入。)

お次は、「小籠包が食べたい」というリクエストにより、京鼎樓で夕食。有名な鼎泰豐の弟子が開いたお店だそうだ。(日本にも支店あり。)鼎泰豐の小籠包は食べたことがあったけど、確かに似たような味。こちらの方が店内が空いている分、落ち着けていいかもしれない。小籠包以外も、エビ蒸し餃子、炒青菜、酸辣湯など、出てくるものみんな美味しくて満足。デザート代わりに甘い芋泥小包でしめる。そうそう、台湾に来たからにはと、当然台湾ビールを飲んだのだが、実は台湾では食事時にお酒を飲む習慣はほとんどないんだって。そんなぁーという感じだが、確かに、重たい料理にビールは合わないんだよね。健康的にお茶飲んでればいいのね。と悟りを開き、この後、なんと帰国まで1回も飲酒せず。貴重な休肝期間となりました。

(左)京鼎樓の小籠包 (右)台湾ビール
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食事の後は、中国茶専門店へ。京鼎樓の裏手にあるお店だったが、店名がどうしても分からない。とりあえず、ガイドブックに載っているような有名店でなかったことは確かだが、遅い時間にもかかわらず、親切に何種類もテイスティングさせてくれた。気に入ったのは“東方美人”というダージリンティーのような香りの台湾茶。お土産にちょうどいい小袋サイズもあり、迷わずまとめ買い。のんびりしている間に、外は土砂降りの雨に。いよいよ台風接近!?店のおばさんが、全員分の傘を気前良く提供してくれた。本当に親切。ホテルまでは徒歩5分ほどでアーケードも多かったが、それでも辿り着く頃には足元がぐしょぐしょに。

(左)台湾の歌舞伎町? (右)お茶の試飲
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今回の宿泊は、グロリアプリンスホテル(華泰王子大飯店)。日本のプリンスホテル系列なので日本語ができるスタッフばかり。パンフレットには“女性に人気のホテル”とあったが、滞在中はおじさん客ばかり目立ち、とてもそうは思えなかった。立地がわりといいので、ビジネス利用が多いのかも。部屋の中は古い感じが否めないが、バスルームなどの使い勝手はよく、無難な感じ。4人なので2人部屋2つに分かれてしまったが、隣り合わせだったので気軽に行き来できてよかった。早速一部屋に集まって話し込み、初日からうっかり夜更かし。おいおい、明日は早く起きて市内観光だよー。


(左)グロリアプリンスのエレベーターホール (右)室内
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「レミーのおいしいレストラン」

レミーのおいしいレストラン」(Ratatouille:2007年米)を観てきた。

以前からぼやいてきた気がするので今さら繰り返すこともないかもしれないが、これまで私は、ピクサーの映画ってどうも共感できないところがあったんだよね。そもそも題材が、おもちゃ、虫、モンスター、魚、スーパーヒーロー、車…と見事にベタというか万人ウケ(特に男児ウケ)コテコテ路線で(次回作がロボットっていうのもねぇ)、そこまでマジョリティに迎合したらそりゃあ売れて当然みたいな気がして。しかも、主人公のアメリカンヒーローっぷりとか父性とかがいつも強調されてて。自由なクリエイティブ集団みたいに言われてるけど、やってることはけっこう権威主義的なんじゃないかと。

ところが、今回のテーマは“お料理”。あれれ?なんか感じが違いそうじゃない?主人公らしき青年も、ヒーローには程遠いあからさまなヘタレ顔。舞台はパリ。そしてお話は、ネズミ、それもマウスなんてかわいいもんじゃない、立派なラットが料理をするという悪趣味にもなりかねない設定。これはもしかすると、いつものピクサーとは大分毛色の違う、小粋で風変わりな作品になるんじゃないか?

その通りだった。

(以下、ネタバレあり)

レミーはネズミ好きの自分にとってはたまらなくかわいかったが、ダメな人にはちょっと辛いかもしれないリアルラット。そいつが一流レストランの厨房で人様の口に入るお料理を作っているんだから、一歩間違えると不快に思われそうな、際どさのあるお話なんだよね。いや、私はレミーがうちの台所に来て料理してくれるなら大歓迎だけど。(あーただ、家族連れてきちゃうのはナシね。あと、これがもしネズミじゃなくて例えば「ゴッキー(仮名)のおいしいレストラン」だったら…断固拒否してますな…。)うれしいのは、このレミーがちっともヒーロー然としていないところで、所詮は味覚が発達しすぎた変わり者のラットとして描かれてる。作り手も、ネズミがレストランで万人に受け入れられるなんて無理だと承知しているためか、お前、そりゃあラットなんだから仕方ないさね、とちょっと突き放したようなところがあって。レミーに操られるヘタレ青年が変に成長を見せたりせず、最後までヘタレのまんまというところもいいね。結末が、あり得ない成功譚に終わらず、ほろ苦さを漂わせているのもいい。なんというか、誰でもがんばれば夢は必ず叶いますと言い切る白々しさ、American Dreamなんて虚構だと今じゃみんな解っているのに映画の中ではそれにしがみついていていいと思っている鈍感さ、そういうものから解放された心地良さがこの映画にはあった。

ファストフードが、アメリカ商業映画の代名詞のように言われるようになったのはいつの頃からだろう。人間、栄養にならないと解っていてもチープで体に悪そうなものが食べたくなる時もあるから、ファストフード=悪だとは思わない。けれど、確かに、質より量で似たような大味作品が次々量産されていくにつれて、味覚が麻痺してなきゃ耐えられないようなのも増えたよね。この作品は、純然たるアメリカ商業映画でありながら、そうした風潮にきっぱりNOと言う。(さすがにダイレクトにアメリカ的なファストフードとは言わず“冷凍食品”に置き換えているが。)まあ、それだけなら今流行りのハリウッド批判の域を出ないかもしれないけど、この映画がさらにおもしろいのは、ヨーロッパの高級レストランにも同じくらい手厳しいところ。格式に頼って巨匠のレシピに従ってれば偉いってわけじゃないだろ?形だけ気取ったミニシアター系映画もつまんねーんだよ、と。だから、レミーが最終的に落ち着くのは、伝統ある一流レストランではなく、田舎臭いラタトゥイユが似合う郊外のビストロなのだ。生活感のある、親しみのこもった題材に、斬新なアレンジと遊び心を加えて。そうそう、こういう心意気からおもしろい作品が生まれるんだよね。これこそ、映画界の将来を明るくする魔法のレシピ?

作品中のお料理は、期待していたほどおいしそうには見えなかったけど(ワインだけはやたら美味しそうで飲みたくなって困った)、おもしろかったのが、映画という手段では絶対に再現できない“味”という要素をなんとか表現してやろうという試み。レミーが食べ物を味わう時にくるくる浮かぶ抽象的な光。うん、なんか解る気がするな。同じ“ものを食べるシーン”でも、味わうことを知らない大食い兄ちゃんが食べる時は光もうすぼんやりしていて、味覚って人それぞれだもんな、と納得。そして傑作だったのが、偏屈な料理評論家がレミーの勝負料理のラタトゥイユを口にした瞬間のあの反応。味わうという体験がもたらす衝撃・感動をここまで鮮やかに描ききったシーンって、映画史上稀なんじゃないだろうか。少なくとも私は初めて見た気がします。

惜しいのは、このシーン以外にセリフに頼らないで物語るシーンがほとんどなかったことで、とにかく登場人物が饒舌すぎるのが気になった。シェフのゴーストが頻繁に出てきてぺらぺらしゃべるのに至っては勘弁してよ、という感じ。それから、レミーがレストランに辿り着くまでの前置きがいくらなんでも長すぎたこととか、パリが舞台だというのにアムールの要素がお粗末だったりとか(コレットさんがいつの間にかヘタレに惚れたことになってたのが全く理解できず、私何か見逃してました?と唖然)、フランス人はあんなに銃ぶっ放すのかよ、とか、悪役料理長がイアン・ホルムというよりブシェミに見えて仕方ないとか、まあ最後の方はどうでもいいですが細かいツッコミどころは多かったな。一番ひっかかっていたのは、“Anyone can cook”というあんまりにも明快なモットーがtoo Americanで違和感があったことなんだけど、これは最後に料理評論家氏が言い直してくれたように、誰もができるということではなく(現にヘタレは最後まで料理ができない)、“A great artist can come from anywhere”という解釈なら、なるほど納得できるね。

あの評論家のおじさんは、他にもいいこと言った。ほんと、評論家なんて気楽なもんだよね。作り手の苦労も知らないで、辛らつなこと言ってればいいんだから。って、作り手側が作品の中で批評をけん制しちゃうのは禁じ手のような気もするが、尤もな意見なので、多少耳が痛いけれども素直に拝聴することにしましょう。正直言って、私は今のピクサー/ディズニー体制はやっぱり嫌いとしか言えないし(作品中に出てきた「いい素材を手に入れるには、自家製か、それができなければ生産者を買収するか」というセリフも、ジョークにするのはどうかと思った)、いまだにピクサー上層部にいい感情はとても抱けない。でも、この作品を観て、どんな看板を掲げてどんな料理長の仕切る店だろうと、出てきた料理がおいしかったら素直においしいと言いたいし、それを作ってくれた誰かには感謝したいよね、という気持ちになった。実際に厨房で作ってくれたひとりひとりの顔は見えないとしても。このラタトゥイユは本当においしかったよ、ごちそうさま。

「アートスクール・コンフィデンシャル」

「アートスクール・コンフィデンシャル」(Art School Confidential:2006年米)をDVDで観る。

たまたまレンタル店で目についたジャケット。うわ、見覚えがある!というイラストは、間違いなくダニエル・クロウズのコミックのもの。そういえば、「ゴーストワールド」の原作者ダニエル・クロウズとテリー・ツワイゴフ監督が再び手を組んだって話、大分前に耳にしてたなぁ。「ゴーストワールド」にノックアウトされた自分としては、すごく楽しみにしていたはずなのに、知らないうちに上映が終わってDVD化されていたとは…と、トホホな気分に。その後、実は日本では劇場未公開作でDVDに流れたのだと知って、さらにトホホになりました。そりゃないよねぇ。

だってすごくおもしろいじゃん、これ。

相変わらずイタい感じの人間ばかり出てきて、シニカルでちょっとグロテスクで、でもどこか身につまされるから切なくなってしまう。薄っぺらい教授役を怪演するジョン・マルコヴィッチやアンジェリカ・ヒューストンなど、俳優陣も曲者揃い。お約束的にスティーヴ・ブシェミまで、ノークレジットでちゃっかり登場。いつものブシェミっていうだけの何の捻りもない役なんだけど、いるだけでなんか得した気分にさせられるところがやっぱりブシェミ。ストーリー展開もしっかりおもしろくて意外性があって、痛烈にブラックな結末に唸らされる。美術学校を舞台にした本作、アートって一体何だよ?というテーマも実は真面目に掘り下げられていて、反芻すればするほど考えさせられるんだよね。

それにしてもダニエル・クロウズ、よっぽど美術学校にトラウマがあるんだろうな。「ゴーストワールド」でも、勘違いはた迷惑系な美術教師と主人公イーニドの挫折が苦々しく描かれていたけれど、今回の美術学校の真に迫った(と思われる)描き方ときたら。自分の世界にのめり込み放題な学生に、いいかげん極まりないボンクラ教授。アートだ何だと言っても、評価されるかどうかはコネとツキの問題。たまたま成功してネームバリューの出た人間は、途端にふんぞり返って嫌な感じ。世渡りが下手な自分はいつも評価の対象外、どう見ても下手クソなだけのあいつの絵が付和雷同的に絶賛される。こんな世界で大真面目にゲイジュツなんて志してたら、そりゃあ気が狂うかもね。実際に美術学校の経験のある人が観て、どう感じられるのかは分かりませんが。

美術のことは知らないけれど、学校っていう閉鎖的で内向きな空間は、多かれ少なかれ不条理で不気味な所かもしれない。自分も大学では何かとイタい集団に属していたから、この映画で描かれていることに、懐かしく苦々しい思いがしたよ。そういえば覚えがあるなと。授業そっちのけで自分の売り込みばかりしてる無責任教授とか、教授同士のよくわかんないライバル意識とか。学生も、自称学生作家とか、前衛アーティストとか、評論家気取りとか、おべっか使いとか、留年が趣味なのとか、いろいろいたな。何のリサーチもしてない的はずれな論文が「斬新な発想だ」とか絶賛されてて、はぁぁぁ?と思ったことも確かにあった。蘇ってくるイタい記憶。

そんなわけで個人的にも大いに親近感を持ってしまったこの作品だけど、どうやらアメリカ公開時に評価が激しく割れたみたい。(その結果の日本未公開?)どういうわけかとIMDbの感想などをちらっと見たところ、この映画がおもしろくないという人って、“どう見ても下手クソなあいつの絵”が本当のアートだって主張してる人が多いんだね。そうか、そう見えてしまうなら確かに致命的だな。単なる素人の稚拙な絵がアートとしてもっともらしく持ち上げられてしまういい加減さ、どいつもこいつもわかったようなこと言って、なーにがアートだよ!というのがこの話の肝の部分だと思うので。(実はあの絵、ダニエル・クロウズが美術学校時代に描いたものらしいというのがまた自虐的で笑えるんだけど。)あの絵は素晴らしいアートだから皆が褒めるのは当然で、本当のアートが解ってないのは主人公の方だ、と解釈してしまうと、確かにこの映画はつまらないかもしれないね。そして、そう思う人がいても仕方ないというところが、アートという概念の曖昧さであり難しさであって…。うーん、やっぱりこの映画の提示している問題は深いのだ。

(以下、結末のネタバレ含む)

私がひとつだけ気になったのは、ラストシーン。偽アーティストだったあいつの絵に熱を上げていた自分の浅はかさに気づき、本当に心に残る絵を描いてくれた主人公ジェロームの元に戻ってきた彼女。彼女の動機はジェロームに伝わったのかしら。その辺のフォローがなかった気がしたので、もしも彼が、世間と同じように彼女も自分が突然有名になったから戻ってきたのだと思い込んでいたら辛いなと。ブラックな結末でも、あの微笑みとキスだけは、ちゃんと彼女の気持ちが伝わった結果なのだと思いたい。

結局のところ、世間一般にもっともらしく支持されるより、たったひとりでも自分のアートを心から理解してくれる人がいる方が幸せなことのような気がするから。


アートスクール・コンフィデンシャル アートスクール・コンフィデンシャル
マックス・ミンゲラ、ソフィア・マイルズ 他 (2007/04/18)
ソニー・ピクチャーズエンタテイメント

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