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「チキン・リトル」DVDレビュー

チキン・リトル」がディズニー史上おそらく最速でDVD化。早くなったのはうれしいけれど、正直早すぎじゃない?公開から大して待たないでDVDで観れるのなら、映画館に行って観る価値が薄れるというか…。まあ、ホームシアターの普及などを考えれば、映画の鑑賞方法自体が変わってきているということかな。「チキン・リトル」本編では、オールドファッションな映画館が何度も出てきて、けっこう大事な意味を持っているんだけど。

この作品、DVDで改めて細かく観ると、なかなか侮れないです。映画館では大げさなSFシーンや子どもっぽいキャラクターに隠れて見えてこなかった部分で、ちょっとした発見があったり、ちょっと考えさせられたり、おもしろい。マーク・ディンダルの映画は「ラマになった王様」もそうだったけど、一度観て子ども騙しじゃんと見限った人でも、もう一度トライする価値あるかもよ。まあ、かなりディンダル贔屓の人が言ってることなんで差し引いて聞いた方がいいかもしれませんが…。

しかしこのDVD、映像特典が拍子抜けでした。日本版だけかと思ったら、北米版も同じだったみたい。20分足らずのメイキングと未公開シーンだけ(あとお約束のミュージッククリップとお子様ゲーム)って、WDFAの新作にしては扱いがチープというか、寂しすぎない?「ホーム・オン・ザ・レンジ」といい、この路線の映画はDVDの内容に力入れる必要なしと思われてるんですかね…。それとも、後からスペシャル・エディションを売り出す気?どっちにしても、うれしくない傾向。

メイキングは、3D作品で技術的なことを語られてもあまり興味持てないので、まあいいんだけど。ストーリーの変遷が激しかった作品だから、その辺をもう少し突っ込んでほしかったような。チキン・リトルが女の子から男の子に変更されたのは、アクション重視にするためと聞いていたので少し納得がいかなかったのだけど(女の子がアクションやって何が悪い?)、今回、“体が小さいことに悩むのは男の子の方だから”という理由が語られていたのは、なるほどね、と思った。

未公開シーンの、オープニング別バージョンがなかなか興味深い。ひとつは本編でダメ出しされてた、絵本を開いて始まるやつ。(ボツになったネタを再利用、さすがディンダル。)この絵本の中身が、6、70年代風のレトロな2Dアニメーションでいい感じ。オープニングにしては面白みに欠けたかもしれないけど、どこかで活かしてほしかったな。あと、朝のTVで始まる方も心に響くものだったので、カットされたのがもったいない。映画のテンポを少し落としてでもあのシーンをどこかに残した方が、父と息子の関係というテーマに深みが出たはず。

どうでもいいんだけど、メイキングに登場したマーク・ディンダルがラマの頃みたいにはっちゃけてなかったのが、少々残念でした。“So, hey!”だけかなぁ、笑えたとこ。5年という歳月の問題ですかね。すっかり落ち着いて貫禄がついたというか、なんだか映画監督っぽくなっちゃって。いやこの人、映画監督ですけど。
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「バス男」

「バス男」(Napoleon Dynamite:2004年米公開)DVDようやく観ました。すでに全国何十万人もの人がつっこんだ後だと思うけど、

どこが“バス男”だバカタレが
(Idiotを“バカタレ”と訳す字幕のセンスは好きです。)

世の中ひどい邦題は数多くあれど、ここまでなのは聞いたことないかも。“ナポレオン・ダイナマイト”はオタクの話じゃなかった!バスなんか1回乗っただけだった!とまあ、いまさらながら絶句したわけです。

ベタなアメリカンコメディーかと思ってたら、かーなりユルユルの世界を素で描いてる映画で。アイダホのど田舎に住むダサい人たちのべろーんとした日常。なんか気持ち悪いけど、好きにならずにいられない。そんな感じ。

ストーリーは一応あるけれどどうってことなくて、それよりキャラがおもしろい。だって主人公の名前がナポレオンで、ガリでメガネでカーリー頭で口が半開きで常にTシャツイン。ペットはラマ。特技は利きミルク。部活は女の子しかいない“ハッピー手話クラブ”。バイトは自給1ドル。今欲しいものはウエストポーチ。Gosh! 素晴らしきかなナポレオン・ダイナマイト。あまりのイケてなさに目が離せない。

ナポレオンの家族や学校の仲間も、当然ダメな人々。負け犬系映画という点では、あの「チキン・リトル」を凌ぐかも。ナポレオンの兄ちゃんが、リアルにキモくてウヒー。ナポレオンたちをいじめる連中だって、傍から見たら相当にダサい。学校の人気者で、「チキン・リトル」のフォクシー・ロクシーみたいな女の子(ヒラリー・ダフの姉ちゃんらしい)とか、あーいるよねぇ、こういうしょぼい高校生。そういうのを、とりたててバカにするわけでもなく、ちょっと離れたところから淡々と描く視点の愉快さ。

負け犬が努力してマトモな連中を見返す、なんていうありふれた展開にならないところが素敵。ナポレオンは、ダサい自分を恥じたりなんかしない。人並みになろうなんて端から思ってない。興味あることはあれこれやってみるし、臆せずに女の子を誘ったりもするし、そのまんまで毎日ちゃっかり充実してそうなんだ。こんなにイケてないのに天然に前向き。いいんじゃないそういうの。

たぶんこの映画、ナポレオン・ダイナマイトというキャラの存在に説得力がなければ、だから何?で終わってしまったはず。ナポレオンを演じたジョン・へダーがとにかくすごい。この先どんな役で出てきても、このイメージがつきまとってしまいそうだけど。(「ジャスト・ライク・ヘヴン」のオカルト男も今思えばナポレオン系だったし。)この路線を貫くのもひとつの方法だろうけど、個人的には、イメージを180度変えるような役で見てみたいなぁ。素顔はわりと普通っぽいもんね。それで、忘れた頃にまたナポレオンとして戻ってきたら笑える。

DVDの特典として収録されてる、長編映画の元になった短編がとてもいい感じ。こんな風に、ナポレオンたちのその後を10分くらいの短編にしてくれたらいいのに、と思った。数年に1回撮るシリーズとかで。ナポレオンとお仲間たちの成長(のなさ?)を見守り続けてみたい。

そういえば、ナポレオンと仲良くなる微妙な女の子は、子役として有名だったティナ・マジョリーノ。「コリーナ、コリーナ」のあの子がこんなに大きくなるなんて…自分も年をとったわけだ、としみじみしました。

「ククーシュカ ラップランドの妖精」

タイトルの響きだけでなぜか気になっていた映画「ククーシュカ」(Kukushka)を観てきた。ロシアのアレクサンドル・ロゴシュキン監督作品だそうだ。じんわり、良かった。好き。

第二次大戦中のラップランド。仲間から裏切り者として置き去りにされたフィンランド兵と、同じように裏切り者として護送される途中で爆撃に遭ったロシア兵が、現地に暮らすサーミ人女性に助けられる。敵対する者同士がどうしようもない状況下に取り残されるという点ではダニス・タノヴィッチ監督の「ノー・マンズ・ランド」を思い出したが、こちらはお互いの言葉が全く通じないというのがポイント。しかも、サーミ人女性をめぐって三角関係が展開されてしまう。

こう書くと、複雑でシビアな話のように聞こえる?いやこれが、静かで美しい自然を背景にした、のんびりほのぼのおとぼけ系のお話なのです。ここで描かれるのは、言葉が通じないというもどかしさより、お互いが勝手なこと言って、相手のことは勝手に解釈して、それでなんだかコミュニケーションが成り立ってしまうという可笑しさ。

三角関係というのも、かなり滑稽。フィンランド人の方は、インテリのワカゾーでなかなか男前。(フィンランドといったらアキ・カウリスマキの映画くらいしか観たことなかったから、みんな無口で無表情というイメージだったけど、勘違いだったのね。勝手な思い込みはいけません。)ロシア人の方は、頭髪も寂しくなってきたオッサン。明らかに分が悪いのに、サーミ人のアンニに惚れてしまうのはこのオッサンの方なんだよ。当然、アンニが選ぶのはワカゾー。哀れなオッサン(笑) ロシアの作品だからか、意図的にロシア人の方をダメダメに描いてる感じなんだけど、でも、オッサンは実は詩人で、ワカゾーの方は、そうとは知らずに自分に詩が書けたらいいなぁ、なんて呟いてて。そういうところがニクい。

それに加えて、ヒロインのアンニがまたいいキャラ。ナチュラルで見た目もとってもかわいいんだけど、大胆というかあけっぴろげというか。戦争で夫を失った女性が、何の躊躇もなく兵士を2人も自宅に連れ込んで介抱してあげるか?と最初は疑問に思っていたのだけど、アンニさんにとっては、4年も男に触れてなかったのにいきなり2人もよ~!という願ってもない幸運だったらしいことがすぐに判明します。笑ったよ。

**以下、結末に関してネタバレ**

それにしても、3人はお互いのことを完全に勘違いしたまま。相手の置かれた立場はおろか、名前すらちゃんと知らないまま。誤解や憎しみが消えたわけじゃないし、オッサンとワカゾーが完全に許し合えたとも思い難い。それでいいの?と若干もやもやした気持ちが残ったのだが…最後のアンニの言葉が、もやもやを解消してくれた。

「ふたりとも勇気があって、いい狩人になれたのに…戦争で人殺しをさせられて、疲れきってしまった。でも、一緒に暮らすことになって、協力して…仲良くなれたのね。」

それはちょっと違うよ、アンニ…と言いたくなって、気づく。言って何になるっていうの?アンニの瞳には、そういう風に映っているのだ。彼女はただ、2人の傷ついた個人を見て、命を救った。そのシンプルな行為に比べたら、実はあの2人はこういう立場の人間で、当時のロシアとフィンランドとドイツの関係はこうで、なんて言うことがひどく虚しい。

**ネタバレおしまい**

ただ泣かせるだけの映画より、笑わせた後でしみじみ考えさせてくれる映画の方が好き。そんな人にお奨め。2002年の作品がどういうわけで今さら日本に来たのかは知らないけれど、こういう映画がたとえ遅くなっても公開されるというのはうれしいです。「ラップランドの妖精」という副題は要らなかったかな?とも思うけど。
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