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Storytellers Cafe

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American Dog -あるいは裏切りという目に遭った犬

Once upon a time...
一匹のキュートなワンちゃんがいました。このワンちゃんを育ててくれた“オハナ”は、ちょっぴり変わり者のおじさんです。おじさんは、ワンちゃんがお友達のウサちゃんやニャンコと一緒に繰り広げた風変わりな冒険を元に映画を作っていました。ところがある日、見知らぬ男たちが侵入してきて、ワンちゃんは無理やりおじさんから引き離され、どこかへ連れて行かれてしまいました。おじさんとはもう二度と会えません。いつの間にか、お友達のウサちゃんやニャンコも消えてしまいました。そして気がつくと、ワンちゃんは、もう以前のキュートな丸顔のワンちゃんではなくなっていました…


クリス・サンダースがとうとうディズニーを辞めたそうだ。

情報元がVarietyとかJimHillMediaくらいしかないので事実確認はできないけど(といっても、この手のニュースで公式の発表なんていつもないよね)、“American Dog”監督降板の当然の結果でしょう。正直なところ、私は昨年12月の降板騒ぎ自体、今月に入ってようやく知った次第なんだけど、人の好さそうなクリスでも怒って辞めて当然の状況と思ったよ。私なんか知った直後は、思わずジョン・ウォーターズの「セシルB ザ・シネマ・ウォーズ」みたいな映画テロ集団に入ってD社を襲撃したくなったもんね。腕に“C. Sanders”ってタトゥー入れて。

冗談はさておき。事の次第は、(これも公式な筋の発表などないので)12月19日付のJim Hillや2月17日時点でのWikipediaを参考にまとめると、こんな感じ。昨年のディズニーのピクサー買収によって問題化した、WDFAとピクサーとの社内競合。これを解決すべく、アニメーション事業のトップに立つピクサーのジョン・ラセターとエド・キャットマルは、WDFAで製作中のCG作品の見直しに乗り出したわけ。(もはやお約束のように易々と行われるWDFAのスタッフ大量解雇も伴って。)ほとんど完成しちゃってる「ルイスと未来泥棒」は不本意でもこのまま公開するしかない。まだ初期段階だった「ラプンツェル(仮)」は、手描きアニメーションに変更させることに。問題は、製作がかなり進んでいて2008年の公開も決定済みの「アメリカン・ドッグ(仮)」。製作を中断させて揉めた結果、とりあえずはCGのままで進める方向になったものの、ラセターとキャットマルは作品の内容に大幅な変更を求めてきた。当然、原案からの生みの親である監督クリス・サンダースには了承できない。結果、クリス・サンダースは降板、新監督にはサンダースの元ストーリーボード仲間のクリス・ウィリアムスが抜擢され、ストーリーもキャラクターも大幅に書き直されることになった。巨大なウサギや眼帯をしたネコなどの奇抜なキャラクターは削除、主役の犬はヒーロー的なルックスに変更、ストーリーからは風変わりなテイストが一掃され…。

驚くことではないのかもしれない。ピクサー買収の時点でこのブログにも書いた通り、こういうことになる予想はできたもんね。だからといって、ほら言った通りじゃんと威張りたい気分にはとてもなれないよ。嫌な予感が最悪の形で現実になってしまったんだから。

映画産業も産業である以上、ビジネスとして儲けを考えないといけない側面があることは否定しない。映画会社の意向で監督の交代が行われるのも、商業映画の世界では珍しくない話。でもそれが、ひとりのアーティストのアイデアから生まれ、彼が仲間と一緒に育ててきたプロジェクトだった場合は?会社の都合で奪って作り変えて当然という傲慢さはどうなんだろう。

そもそも、猫も杓子もCGの時代に「リロ&スティッチ」で水彩画と手描きアニメーションの良さを訴えかけたクリスにとって、CG作品に取り組むことには葛藤もあったはず。それでも、WDFAに残りたかったらCGで作るしかないという状況で、苦心の末、CGを活かして自分の世界を表現することに成功した。その矢先、WDFAではCG作品はもう作らないからお前は要らないと放り出される。自分が生み、結果的に会社に莫大な利益をもたらしたLilo & Stitch と、何年も取り組んできたAmerican Dogのすべての権利を会社にとられたまま。これが理不尽な仕打ちじゃなくて何だっていうんだ?クリス、辞めて当然だよ。

私もとうとうディズニーと決別する時が来た。これまでもディズニーに見切りをつけたくなったことはあったけど(フロリダスタジオ閉鎖とかピクサー買収の時とか)、その度に思いとどまらせていたのは、逆境でも細々と独自のアニメーションを作り続けているWDFAの存在だった。そういうWDFAが好きだったから。でも、もはやWDFAが独自性を保つことが許されなくなった今、あの会社には何も見出せない。本当のファンなら、こんな時こそWDFAの行く末を見守って、応援し続けるべきなのかもしれない。でも私には無理。もうたくさん。

オーケー、仮にクリス・ウィリアムスと残されたクルーのがんばりによって「アメリカン・ドッグ(仮)」が2008年の公開にこぎつけたとしよう。ピクサー流・健全な万人受けテイストに染め上げられた作品は興行的にまずまずの成功、その後のWDFAは手描きのアニメーションに専念するスタジオに生まれ変わり、“昔ながらの”ディズニー映画ファンも満足。この偉業を成し遂げたラセターはますますヒーローとして崇められる存在になりました。めでたしめでたし。

こんなの、正直我慢ならない。もう関わりたくないね。さよならディズニー。

この先、クリスはどうするんだろう。狭い世界だから、ドリームワークスに引っ張られるか、ジョン・マスカー&ロン・クレメンツみたいに結局ディズニーに出戻りになっちゃうのかな。無理な希望かもしれないけど、できることなら大手の会社とは縁を切って映画作りを続けてほしい。独自のテイストを持つアニメーション監督が自由に作れる環境が、どこかにあればいいんだけど。そういえば、クリス&ディーンで立ち上げたとかいうStormcoast Picturesはどうなったんだろう。ああ、私がビル・ゲイツだったら、今すぐ彼らのスポンサーになって好きなだけ好きなように映画を作ってもらうのに。私にできることと言ったら、悲しいことに、いまや幻となってしまった作品について語ることくらいだ。

Once upon a time...
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「リトル・マーメイド」プラチナ・エディションDVD

4日に発売された「リトル・マーメイド プラチナ・エディション」DVDを鑑賞。

“プラチナ・エディション”という言葉には「シンデレラ」ですっかり信用を失くしたし、また姫ものだしなぁ、と嫌な予感がして迷ったんだけど、少々の値段の違いで“スペシャル・エディション”の方にするのも気が進まないし。もう一度くらい騙されてやるか、と妙にエラソーな態度でプラチナを購入。そしたらこれが、予想を裏切る真面目にいい内容だったんですねぇ。

「リトル・マーメイド」本編については、さんざん語っているから割愛…と書こうとして、なぜか今まで一度もレビューを書いていなかったことに気づいて愕然としたんですが、遺憾ながら今回も割愛。語るべきことは、ありすぎるほどあるんだけど…。ひとつだけ、今回ハッとしたのは、音声解説に出てきた“イノセンス”という言葉。この一言に尽きる作品だなと。その後のディズニーアニメーションをめぐる環境の変化を考えても、もっと広い世界情勢を考えても、「リトル・マーメイド」が公開された89年という年は、イノセントでいることが許された最後の年なんじゃないかと思った。それがいいとか悪いとかいうことではなくて、ただ、これほどこの作品を的確に表わしているキーワードもないだろうと、深くうなずかされたのでした。

残りは、映像特典インプレッション。(なんか久々ですね、こういうの。)

<音声解説>
ジョン・マスカー&ロン・クレメンツ監督と音楽担当のアラン・メンケンによる解説。故ハワード・アシュマン(作詞&製作指揮)の当時のコメントを挿入しているところに、今でも変わらない仲間意識を感じる。とても充実した解説だったが、なんだか隠居した人たちの昔話みたいに響いて少々寂しい気もした。まだまだ現役で活躍してほしい3人、今は何かお仕事してるのかしらん。

おもしろかった点。
・エフェクト担当時代からコスト節約がお得意だった、ぼくらのマーク・ディンダル!
・シェフのルイはフランス語版ではイタリア系ってことになってるらしい。おフランスな力技。
・アリエルの動きや表情がいいなと思えた部分が全て、マーク・ヘンの手によるものだった。
・個人的に気に入らないなと思っていた演出が全て、カッツェンバーグの横槍によるものだった…。

<メイキング・オブ・リトル・マーメイド>
作品の製作過程というよりは、この作品がいかにディズニールネッサンスをもたらしかに重点を置いた内容。大人向けでなかなか真摯なアプローチ。

とにかく、コメントしている人々の顔ぶれが興味深い。ロン&ジョン監督、アラン・メンケン、アニメーターのグレン・キーンやアンドレアス・デジャ、そしてレナード・マルティンおじさんあたりはいつものことだけど。当時の状況を、ロイ・ディズニーが語る、ピーター・シュナイダーが語る、ジェフリー・カッツェンバーグまで語る。ここ数年のD社をめぐるゴタゴタの中で、善玉・悪玉のように極端な見方をされてきた当事者たちが、ごく自然にそれぞれの立場で語っている。当たり前のようだけど、これを収録できるってすごいことなんじゃないでしょうか。ディズニーという企業も、ずいぶんさばけた印象になってきたなあ。まあ、17年以上前の、しかも興行的に成功した作品の思い出話だからできたことだとは思うし、ジェフリー・“ハデス”・カッツェンバーグの“俺だって本当はいいおじさんなんだよ”的な語りは若干どうかと思ったが。

もうひとつ、ディズニーも変わったなと実感したのは、ハワード・アシュマン関連の人々。まさかディズニーDVDにジョン・ウォーターズが登場するとは。アシュマンのパートナーの人も証言者として出てきたし、いやほんと、ディズニーも開かれてきたわ。保守的な世界の偏見やタブーを打ち破ったという点でも、アシュマンの功績は大きかったんですね。

アニメーションに関する解説がほとんどなかったのが残念というか不思議なくらいだったが、なぜかディンダル&フルマーのエフェクトチームだけは1コーナーもらっていて、なぜか黄色いレインコート着てはしゃいでいてうっすら意味不明でした。

ストーリー面の話では、わざわざデンマークのアンデルセン博物館の人(妙に迫力あり)に原作の解説をさせてるのが好印象。

<短編 マッチ売りの少女>
ムーラン!ムーラン!ムーランがロシアでマッチ売ってる!と興奮を禁じえませんでした。なんでああいう顔にしたんやろ。まあ、多少の安っぽさは否めないものの、それなりに好感が持てるアニメーションだった。元は「ファンタジア」企画の一編として作られたと思われる、ロイ・ディズニープロデュースの短編。ハッピーエンドに変えなかったあたり、懐が広がったなあ。

<バーチャルライド>
通常、存在価値に疑問を抱かずにいられない“ゲーム&アクティビティ”というコンテンツ。今回は違いました。パーク用にイマジニアが開発したものの実現に至らなかったアトラクションのバーチャル体験。これならお子さま方も楽しめるだろうし、資料性もあって大人でも楽しい。いいこと考えたもんだ。ただし、このライド実際パークには要らんわな、と思ったのは事実…。

その他のミュージッククリップとかはどうでもいいんだけど、未公開シーンでメンケンが歌ってるやつがよかったです。やっぱりすごいメンケン・ミュージカル。久々に「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」でも観るかな。


リトル・マーメイド プラチナ・エディション リトル・マーメイド プラチナ・エディション
アラン・メンケン (2006/10/04)
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

リトルショップ・オブ・ホラーズ 特別版 リトルショップ・オブ・ホラーズ 特別版
リック・モラニス (2002/07/05)
ワーナー・ホーム・ビデオ

Dream On Silly Dreamer

超いまさらだけど。2月にDVDの出た“Dream On Silly Dreamer”(公式サイト)の感想を。

そもそも“Dream On Silly Dreamer”って何?という話は、いつぞやのDiaryに書いたりなどもしてますが、2002年にディズニーが手描きアニメーションを止めると決定した際、Walt Disney Feature Animationを解雇されたアニメーターたちが作ったドキュメンタリーです。

2月にDVDで観てすぐに感想が書けなかったのは、気持ち的にちょっと凹む内容だった上に、字幕がついてなかったので一回観ただけじゃいまひとつ理解できなかったから。(リージョンフリー仕様なら、英語字幕くらいつけようよ…。)で、ようやく重い腰を上げて2回目にトライして、特典映像もひと通り観たわけだけど。評判通り、いいドキュメンタリーでした。できることなら、長編の長さにして、全体をもう少し掘り下げてほしかった気もするけれど(そのへんの物足りなさを映像特典がある程度補ってくれてはいるが)、よくまとまった中編。自分たちの身に降りかかったことを、よくここまで冷静に見つめて映画作品に仕上げることができたなと思う。

内部の暴露話になることもなく、単なるノスタルジーや自己憐憫に陥ることもなく、ディズニーアニメーションの繁栄と衰退の過程を真摯に描いているからこそ、価値のあるドキュメンタリー。たとえこのへんの話に興味がなくても、普遍的なテーマを見出せると思う。とある会社の信念に惚れ込み、寝る暇も削って家庭を犠牲にしてまで働いてきた従業員たちが、会社を大きく育て上げた結果、不必要な存在になったと解雇されてしまう。それ自体、どこの業界でも起こり得る現実的な悲劇だし。

さらにおもしろいのは、この作品のテーマが、今のアメリカの映画産業そのものが陥っている状況への問題提起とも受けとれること。アートを追求することをやめてビジネスだけを追求するようになった結果、ハリウッドはジャンクフードのようなチープな映画を大量生産するようになり、観客はただの消費者になり下がってしまった。そういう映画産業の悲しい現実を象徴しているのが、このドキュメンタリーに描かれたWDFAの悲劇だと思う。

この作品でちょっとすごいなと思ったのが、ディズニーの転落のきっかけはDirect-to-video(俗にいうCheapquel)商法であるとはっきり言い切ったところ(そういう商法に乗せられていた消費者として、耳が痛かったり…)。儲け主義に走り始めた経営側と、純粋に映画を作りたいアーティスト側との溝。ストーリーテラーではない、アニメーションに興味もないマーケティングの人間からストーリーを押しつけられる苛立ち。このあたり、現場の声だからこそ生々しい。衝撃的だったのは、私たちにとっては夢の象徴のように見える、有名なソーサラーハットのアニメーションスタジオが建設された時のこと。それまで古い倉庫のスタジオで楽しそうに仕事をしていたアーティストが、新しい豪華な建物に入って発した言葉が「ガス室みたい」。アーティストのためではなく、経営の宣伝のために作られた建物だということがすぐに判ったらしい。実際、ここで手描きアニメーションの息が止められる日が来たことを思うと、とても重い。

それでも、このドキュメンタリーに出てくるアーティストたちは、経営者の誰かを批判したり、恨み言を言ったりしない。WDFAへの思い入れとスタジオでの思い出を心から楽しそうに語る。この映画のスタイル自体、ディズニーアニメーションへのオマージュになっていて、そういう愛が感じられるからこそ、心を動かされるし切なくもなる。アーティストたちの象徴であるDreamerの人形の、いかにも手作りらしい素朴な顔に浮かぶ涙に、思わず貰い泣きしそうになった。

しかし、考えてみると私が愛着を持っているWDFA作品って、みんなWDFAに逆風が吹き始めてからのものなんだな。やっぱり、逆境にいるからこそ光るというものがあるんだと思う。そういう意味で、優良企業ですべてが順調に見えるPixarの作品にはあまり魅力を感じなかったり。Underdogに対する偏愛かもしれないけれど、どん底から這い上がる力によってしか作り出せないアートがあると思うので。すべてのDreamerに、WDFAに残って奮闘している人にも、外の世界で別の道を歩き出した人にも、“I wish you the best”と、心から言いたい。

ディズニーアニメーションを愛している人、かつて愛していた人に、ぜひ観ていただきたい作品。DVDはAmazon.comで購入できます。

「チキン・リトル」DVDレビュー

チキン・リトル」がディズニー史上おそらく最速でDVD化。早くなったのはうれしいけれど、正直早すぎじゃない?公開から大して待たないでDVDで観れるのなら、映画館に行って観る価値が薄れるというか…。まあ、ホームシアターの普及などを考えれば、映画の鑑賞方法自体が変わってきているということかな。「チキン・リトル」本編では、オールドファッションな映画館が何度も出てきて、けっこう大事な意味を持っているんだけど。

この作品、DVDで改めて細かく観ると、なかなか侮れないです。映画館では大げさなSFシーンや子どもっぽいキャラクターに隠れて見えてこなかった部分で、ちょっとした発見があったり、ちょっと考えさせられたり、おもしろい。マーク・ディンダルの映画は「ラマになった王様」もそうだったけど、一度観て子ども騙しじゃんと見限った人でも、もう一度トライする価値あるかもよ。まあ、かなりディンダル贔屓の人が言ってることなんで差し引いて聞いた方がいいかもしれませんが…。

しかしこのDVD、映像特典が拍子抜けでした。日本版だけかと思ったら、北米版も同じだったみたい。20分足らずのメイキングと未公開シーンだけ(あとお約束のミュージッククリップとお子様ゲーム)って、WDFAの新作にしては扱いがチープというか、寂しすぎない?「ホーム・オン・ザ・レンジ」といい、この路線の映画はDVDの内容に力入れる必要なしと思われてるんですかね…。それとも、後からスペシャル・エディションを売り出す気?どっちにしても、うれしくない傾向。

メイキングは、3D作品で技術的なことを語られてもあまり興味持てないので、まあいいんだけど。ストーリーの変遷が激しかった作品だから、その辺をもう少し突っ込んでほしかったような。チキン・リトルが女の子から男の子に変更されたのは、アクション重視にするためと聞いていたので少し納得がいかなかったのだけど(女の子がアクションやって何が悪い?)、今回、“体が小さいことに悩むのは男の子の方だから”という理由が語られていたのは、なるほどね、と思った。

未公開シーンの、オープニング別バージョンがなかなか興味深い。ひとつは本編でダメ出しされてた、絵本を開いて始まるやつ。(ボツになったネタを再利用、さすがディンダル。)この絵本の中身が、6、70年代風のレトロな2Dアニメーションでいい感じ。オープニングにしては面白みに欠けたかもしれないけど、どこかで活かしてほしかったな。あと、朝のTVで始まる方も心に響くものだったので、カットされたのがもったいない。映画のテンポを少し落としてでもあのシーンをどこかに残した方が、父と息子の関係というテーマに深みが出たはず。

どうでもいいんだけど、メイキングに登場したマーク・ディンダルがラマの頃みたいにはっちゃけてなかったのが、少々残念でした。“So, hey!”だけかなぁ、笑えたとこ。5年という歳月の問題ですかね。すっかり落ち着いて貫禄がついたというか、なんだか映画監督っぽくなっちゃって。いやこの人、映画監督ですけど。

「ラマになった王様2」

待ちに待ってなんて全然いなかったけど、トゥーンスタジオ製続編DVD“Kronk's New Groove”日本版が出ました。邦題は「ラマになった王様2 クロンクのノリノリ大作戦」…。いや、何も言うまい。わざとだろ?

というわけで最初から1mmも期待しないで観たんですが、(んだらそんなもん観なけりゃいいって気もするが、いちおう、担当範囲かなぁと思って。)ひぃぃぃぃほんとにちゅまらん…。

**以下、どうでもよさげだけどネタバレ**

ストーリーがお粗末。よくある、キッズ向けTVシリーズの最初の2本をくっつけて無理やり長編にしましたみたいな構成。(だけどこれ、TVシリーズの前座ではないんだよね…。)特に後半のエピソードはどうかと思う。不要なミュージカルシーンも目立つ。アーサ・キットの無駄遣い。しかしこの人、御年いくつになるんでしょうか?すごいよなぁ。もっとマシな歌、歌わせれば…。

ギャグもお粗末。映画「ラマになった王様」で使われたネタをひたすらリサイクルという、笑えないセルフパロディ。クロンクの右肩に天使が出てきて、はいはい、次は左肩に悪魔が出るんでしょ?と思ってると本当に出てくる。捻りナシ。「ラマ」以外の映画のパロディも出てくるが、新鮮味がない。(ただ、ターザン?と思わせてジャングル・ジョージという展開は王道ながら良し。)「ラマ」特有の不条理な笑いのセンスが欠落。際どい笑いをただの下品さに取り違えている。年寄りの裸だの脇の下なんか見せんなよ。頼むよまったく。

しかし、最後の10分(まで観続けた自分を褒めてあげたい。)、思いがけず笑える。ためてためてためて、ようやく笑いに行き着いた感あり。別にものすごくおもしろいというわけじゃないが、笑いゼロを予想していたので、ぷっと吹き出せただけで驚きです。パチャ、あんたはやっぱり偉い。

この続編で成功した点があるとすれば、主要キャラ4人の持ち味が変わっていないところだと思う。今回、主役を退いたクスコがお子ちゃま向けの注釈役としてしつこく出てくるが、こいつ、ウザイ…とうんざりしつつ、ああでも、こいつはこういうウザいキャラなんだから仕方ないや、と思えたのはキャラ勝ちしている証拠。改めて、元の映画のキャラ設定の巧みさに感心しました。逆に言うと、続編のために作られたキャラはいまいち。クロンクの恋人はひどい。人間は顔じゃなくたって、魅力的に見せる工夫は欲しいもの。声がトレイシー・ウルマンで、英国アクセントというのも違和感。

続投ボイスキャストは相変わらず素晴らしい。特にクロンクさん役のパトリック・ワーバートン。大しておもしろくもない脚本なのに、パトリックが言うだけでなんとなくおもしろく聞こえるから、さすが。出番は少ないが、デビッド・スペードの投げやりなしゃべりも健在。ジョン・グッドマンは…一瞬、風邪でもひいてるのかと思った。なんでだろ。日本語吹き替え版については、観てないのでわかりません。2回以上観る気力は沸かなかったので、悪しからず。

特典映像として、“製作の舞台裏”つき。通常、トゥーンスタジオものの舞台裏系は好きじゃないのだけど、若手監督コンビの天然にアホな感じがわりと好印象。パトリック・ワーバートンやアーサ・キットの映像を見ていると、「ラマ」ってそのまま実写でいけるよな、と思う。どうせラマなんだから何でもあり、な空気を活かすなら、そんな方面に発展した方がおもしろかったかも。

「チキン・リトル」サウンドトラック

先日買った「チキン・リトル」のサントラ(輸入版)。まあまあ、だったかな。

映画を観た時に、このサントラはおもしろいに違いない!と思ってたほどではなかった。考えてみりゃ分かるだろって話だけど、音楽だけ単独で聴いてもただの懐メロ系ポップスだもんね。それこそ、舞浜のイベントとかでそのまま使えそうな感じの。あれは、無茶苦茶なディンダルワールドの中に放り込まれてこそのおもしろさだったのか…。

ジョン・デブニーの手がけたスコアも同様。聴いてるだけだと、大味でありがちなハリウッド映画って感じ。(そこはかとなくB級な匂いを漂わせてるあたりはいいけど。)この大げさに緊迫した音楽が、くだらない映像と合わさって絶妙なバカバカしさを醸し出していたのは、音だけじゃ分かりっこないもんね。惜しい。

要するに、音楽が話を引っ張っていく映画じゃないからなのよね。だから、コテコテのメンケン・ミュージカル「ホーム・オン・ザ・レンジ」とか、ミュージカル要素なしでもスコア重視だった「トレジャー・プラネット」あたりのサントラの充実度と比べてはいけないのよね。なんとなく物足りない気がしても仕方ないのよね…。はん。

とはいえ。それだけだったら買わんでもよかった、と思ってしまう「チキン・リトル」サントラを救ったもの…それは劇中でチキン・リトルと愉快な仲間たちが歌う曲。エンディングのあれを含めて、3曲入ってますが、どれもこれもおバカでおバカでおバカだったらもう。チキン・リトルがアカペラで腰砕けに熱唱する“We Are the Champions”の替え歌、思わず「とほほ」と呟きたくなる感じ。これをわざわざ収録してる時点で泣ける。さらに、ラントとアビーの“Wannabe”なんて、もう…始まった途端に膝カックンされた気分。ちょっぴりもの好き(キワモノ好き?)の自分としては、このへんで充分元とれました。

(そういえば、普通なら子どもの声は子役が演じるところを、「チキン・リトル」は全員いい大人がやけっぱちに声当ててるんですよね…そんなところも好きだな~。知らなかったけど、ポーキュパインとか何気にディンダル本人だったし。笑)

どうせだったら、挿入曲すべて、チキン・リトルと仲間たちがカバーしてればもっと楽しかったかも。いや、これからでも、そんなカバーアルバム出ないかな?「ラントが歌うバーブラ・ストライザンドコレクション」とか。どう?(って言われてもなぁ。)

あ、それより、ディズニーソングコレクションがいいかも。どうせなら今までのディンダルキャラ総出演で、「イッツ・ア・ディンダル・ワールド」。これだ。なんか、マイク持ったら離さないタイプばっかりだもんね。「キャッツ・ドント・ダンス」チームとか明らかにディズニーキャラじゃないけど、既存のディズニー系コンピレーションの節操のなさを考えれば、そのくらい気にならないさ。

ラントとアビーがノリノリで歌う“好きにならずにいられない”、クロンクさんとバッキーがリス語で歌う“君はともだち”、イズマの部下の皆さんがステップを踏み外しまくる“踊ろう、調子よく”…。最後はもちろん、ダーラ・ディンプル嬢が大声量で歌い踊りのたうち回る(笑)ディズニープリンセス・メドレーで。我ながら、ちょっといい企画だと思うんですが。どう?(って言われても、ねぇ…)

「チキン・リトル」

観た!笑った!以上!(笑)

としか言いようがないよこりゃあ…

期待通り、いや、期待以上かもしれないほど、フルマー&ディンダル印の映画でした。信じがたいことに、ディンダル監督はラマ越えしたと思う。一世一代のおバカ映画だと思っていた「ラマになった王様」。ところが、またやっちまったんだねディンダルさんは。今回はもう、「キャッツ・ドント・ダンス」+「ラマ」のノリに、バカバカしさ120%増量しました!という感じ。オープニングから、へろへろになるほどディンダル節全開!こんなディンダルを野放しにしている(笑)WDFAの懐の深さに、改めて感服しました…すげーーー。

チキン・リトルは、思っていたよりずっと魅力的なキャラだった。かわいい、いろんな意味で。ディンダル作品の主人公では初めて、心を掴まれたかも。あの父さんもいいなぁ。ゲイリー・マーシャル、いい仕事した。期待していた悪役娘のフォクシー・ロクシーとグーシー・ルーシーは、大して出番がなかったので少し残念(でもオチは良かった)。ポーキュパインに至っては、アンタ、そんだけ…?(笑)

でも、脇役を描きすぎないで、あくまで主役の4人組に話を集中させたのは正解だと思う。この4人が、ほんっとにいい味出してるんだもん。あえて思いきりNGな表現をしてしまうと、要するにチビとデブとブスとバカなんだよね。けっこう露骨な描き方だと思うんだけど、典型的なカートゥーンだから許されてるし、こいつらがまた、最高にいいキャラで、いい仲間なの。ニクいよディンダル。ここまで爽やかな負け犬賛歌、なかなかできるもんじゃない。

いつも通り、バカバカしいだけのように見えて言いたいことは言ってるディンダル監督。大作パロディも次々出てくるし、最後のアレなんかキツイっちゃあキツイんだけど、全然嫌味な感じがしなくて気持ちよく笑えてしまうのはこの人ならでは。まったく、無邪気なんだかシニカルなんだか…。

そういえば、「チキン・リトル」が世間で注目されている点、CGアニメーションであることは、観てる間ほとんど気にならなかった。確かにCGであることを活かすために作ったような見せ場も多々あったけど(かつて“アニメーション史上最も安上がりな2分間(だっけ?)”を「ラマ」で誇らしげにやってのけた人とは思えないような…)映像的におもしろかったのは、体が伸びたり目を回したりみたいなカートゥーン的な表現の方だったり。

とにかく、映像表現がどうこう以前にフルマー&ディンダル色が強すぎ。そういう意味では、CG長編第一弾がこれで案外よかったのかも、と思った。気張らずおバカに徹した潔さに乾杯。

具体的なことを書くとすべてネタバレになってしまうのであれだけど、なんだかもう、呆れるほど細かいところまでくだらない笑いが仕込んであるので、1回ではとても消化しきれませんでした。また観たい。何度も観たい。

とりあえずサントラ買おう。
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